☆武蔵野音楽大学永田仁教授による☆
☆管楽器の発達史☆
アーノルドドルベッチは1919年に彼の著書で、18世紀の音楽の解釈をするために
はその時代の音で音楽を再現しなければならない、と述べています。すなわち、ヨー
ロッパの古典派(ロマン派)
の音楽の物差しですべてをはかるのは間違いであって、その時代の音楽にはその時代
の音があるということなのです。
ヨーロッパの古い楽器の特徴は、その作品の年代によって音色の好みや演奏の場所に
合わせて楽器がつくりだされているということであり、同じ共鳴をもつ楽器でも形に
変化がみられることです。
中世の楽器の分類としては、2通りの分類の方法が上げられます。
(1) 演奏手段による分類
instrumentam naturare | 自然の道具 (声楽) |
instrumentam artificiale | 人工の道具 (人間の理性がつくりだした道具すなわち、楽器) TD> |
musica harmonica | 声楽 |
musica organica | 管楽 |
musica rhythmica | 弦・打楽 |
(1) ルネッサンス音楽
混合コンソート形式によって演奏され、すべての管楽器が各サイズ揃っていました 。
この時代の木管楽器の特色としては、声楽を中心とした倍音の円錐度になっていた ことです。
(2) バロック音楽
オットテール、シルビーヌらがルネッサンス音楽を改造し、管楽器の円錐度を高 めて、音域を広げました。これは、この時代のオペラの形成によって独唱主体の音楽 (独唱に耐えうる音楽) になり、その幅の広い装飾を混ぜた歌のために改造されました。
しかし、音域が広がった一方で、ルネッサンス時代よりも円錐度を高めたために音量が減ることになり、特に低い方の音が減ってしまいました。
時代によって、同じ楽器でも変化して音色も変わってきたのですから、われわれが今
日、古典音楽を再現するためにはまず、その時代の楽器を復元してその時代の音を再
現する必要があるようです。