1998年度

第1回ミューズキャット

*** ヴァイオリンの製作・修復の専門家中澤氏のお話 ***


■「弦楽器デュオ」中澤氏

おもにヴァイオリン・チェロの製作・修復を手がける。
8、9才のとき、はじめてみようみまねでヴァイオリンをつくる。
20才のときヴァイオリン製作を学ぶ為ヨーロッパへ渡り、40才で帰国。
最近では、ヴァイオリン自動演奏機を発明。

■ヴァイオリンの誕生

ヴァイオリンは16世紀の初めに突如、完成された楽器として生まれてきました。
他のあらゆる楽器は、民族楽器であったり、文化や時代の影響を受けながら改良されて生まれてきたものばかりですが、ヴァイオリンは今日に至るまで改良されていない完成された楽器なのです。ただ、弦についてはその当時はそれほど大きい音を必要としない時代に合ったもので羊腸弦が使われていました。のちにはナイロンや羊腸弦にスチールをまきつけたものが使われるようになりました。
最初の製作者はアンドレア・アマティーまたはガスバル・ダ・サロという説が有力視されていますが完成された楽器の謎は未だ未解決のままです。

■ヴァイオリンづくりのヒント

材質はかえでの木が良く、特にユーゴスラビアのものが良質で適しています。
これをみかん割りにとってにかわで張りつけます。
おもて板は松の木が良く、イタリアのものが適しています。木目が細かすぎるとパワーがない楽器になります。
ベースバーについては、これを大きくすることによって、パワーもおおきくなります。
象眼は、ひび割れ防止にやくだっています。

講義の後、100年前のヴァイオリンを復元したものやヴァイオリン製作過程のもの、弓につかう白い馬のしっぽなどを見せていただきました。ひとつひとつの部品が繊細で、美術的。ヴァイオリンがどんな楽器よりも人間の声にいちばん近い楽器だという理由がここにあるのではないのでしょうか。
それから、中澤氏曰く・・・人間の声に近いからこそ、下手な人が弾くとヒステリーな女の人の声に聞こえるのだとか・・・


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