「打楽器であり、弦楽器であり、鍵盤楽器であり、もっとも身近な楽器でありながら、ピアノほど得体の知れないものはない。まさに、ブラックボックスである・・・」
ピアノ誕生に至る歴史を見てみますと
・前身はチター、プサルテリー等の弦楽器
・タンジェントを直接たたくクラヴィコード
・つめ(カラスの羽の軸部分)を使って弦をはじく有弦鍵盤楽器のチェンバロ
と、その時代の音楽とのかかわりによって進化していきました。
さらにバロックの後期時代にチェンバロは強弱音がでないことが難点とされるようになりました。
1709年イタリアのバルトロメオ・クリストフォリが、弦を小さなハンマーでたたくグランドアクションで強弱音のでるチェンバロを発明しました。これがピアノの誕生です。
その後ヴィーンアクション (はねあげ式) による性能のよいアクションが使われるようになりました。
1770年代にはモーツアルトがピアノを絶賛したこともあって、1800年にはピアノが主流になりました。そのため演奏のためにより大きな音を要求されるようになり、イギリス式アクションが開発され移行していきました。
発明された当時は4オクターブ半の音域も、7オクターブ半の音域になり、さまざまな形のピアノが作られましたがアップライトピアノが発明されてから「家庭用としてアップライト」、「演奏用としてグランドピアノ」にしぼられ、現在使われている完成されたピアノができたのです。
性能のよいピアノをつくる要因としては、
が挙げられます。
素材は、部分によって木の選び方も違ってきます。
支柱部分は、かたい木が適しておりブナ、マホガニー、カエデが適しています。
しかし、日本ではコスト面の理由からラワン材が多くつかわれています。
響板は、かたくて軽く振動が伝わりやすい針葉樹、ドイツトウヒが適していますが、現在日本ではスプルスがつかわれています。
アクションは、シデ材、カエデの木の素材がよいのですが、やはりコスト面の理由で日本ではプラスチックを使用しています。
ハンマージャンクはカバ材、シデ材がつかわれています。
フレームは、鋳鉄がつかわれており、これは弦一本70Kg、ピアノ一台約20tもの総張力を保持させるためです。
ハンマーにはフェルトがつかわれており、このフェルトの部分に針をさして弾力を変えて製音作業を行います。
現代の調律は、古典の調律法の「ピタゴラス律」で生じるピタゴラスコンマを12等分した「12平均律」という方法で行います。
こうしてピアノのクリアでソフトでブリリアントな音がつくられ、保持されていきます。