1999年度

第3回ミューズキャット

*** 三味線・箏のしくみ ***

酒井昭義氏(志づか堂)

  『100人集まってもその中に一人いるかどうか』

 それほどまでに演奏経験のある人が少ないと言われる和楽器の現状を何とか 救いたいとの思いから講演を引き受けてくださった横浜の「志づか堂」店主で製作家 の酒井氏 に日本の伝統楽器、箏と三味線のお話と、ビデオによる三味線の製作過程 を通して解説していただきました。

 箏は奈良時代に中国から伝来し、三味線は永禄時代に琉球から伝来したとい われています。

■筝

 その形は竜をイメージしたもので舌、目、頭、尾などを持ち、名前にも龍舌 、龍頭、龍尾と言った龍の名を冠した部分を各所に持っています。龍尾に丸く巻かれ た糸は、龍の目を表していますが本来龍頭にあるべき目が尾にあるのは楽器の構造か らくる制限のためだそうです。
材質は桐の無垢材で甲羅と裏板を張り合わせて作られています。切断して中が見え るようにした教材を見せていただくことでその構造がよくわかりました。このお筝は 交通事故にあってしまって処分される運命にあったものだそうですが教材として生き 延びることができています。
 始めは6、7本だった糸も現在は13本が主流です。宮内庁では現在でも7弦を使う ことがあるようです。糸の太さには各種ありますが、箏一面ではすべて同じ太さの糸 を使い、張り具合によって音を調律します。
昭和30年ごろまは絹が主流だった箏糸も現在はほとんどがナイロン、テトロンの 化学繊維に置き変わっています。化学繊維が99%を占めていて絹糸はわずか1%という 比率です。一本の糸の長さは約365cm(2間)もあり、絹糸の場合は、まゆ3800個ほど で一本の糸になります。この糸の長さは筝の長さ(1間)のちょうど2倍になっていま す。これは演奏途中で切れたとしてもすぐに送って使えるように、1回分の余裕にな ることから来ているそうです。
 汗を吸い取り、音の伝導力があるという利点を持つ象牙で箏爪は作られています 。流派によって形は異なり生田流は長方形、山田流が楕円形になっています。

 

■三味線

 持ち運びに便利なように三つ折れになっている三味線は、上棹・中棹・下棹 で一つの棹が構成されています。太さによって、太棹・中棹・細棹に棹は分けられま す。
 花林・紫檀・紅木が棹に、花林が胴に材料として使われます。
 胴の内側に音の共鳴をよくする目的で、高級品には綾杉が彫られています。
 琉球では蛇皮が使われていましたが、日本では大きな蛇は手に入らないために猫 皮、犬皮が皮に使われています。猫皮は値が張ることから猫皮と犬皮は1対9の割合で 使われています。

ビデオの解説による三味線の製作過程 をまとめると以下のようになります。
 通常『胴』は胴師、『棹』は棹師、『金物』は金物師に分かれて三味線は製作さ れます。

 


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